
伊藤忠商事株式会社は、日本の五大商社の一角であり、みずほグループの大手総合商社である。多くの企業が失敗している中国市場で、事業基盤構築に成功している企業であり、従業員数は五大商社の中で最も少ないが、2015年度の利益は総合商社の中で首位となった。事業はエネルギー、金属、機械、化学品、情報、金融、物流など様々である。
別の記事で、伊藤忠商事株式会社で貿易などの事務職を担当しているTさんの評判をご紹介しているが、今回は、伊藤忠商事株式会社のエネルギー関係の部門に所属するDさんに、転職評判、勤務環境、待遇などについてお伺いした。
▼貿易などの事務担当のTさんの仕事事情、評判はこちら▼
仕事内容:発電事業の開発、買収、管理業務
「伊藤忠商事株式会社は総合商社ですが、その中でわたしは海外(アメリカ、欧州)の発電事業の開発、買収、投資後の事業会社管理および国内の電力関連業務に従事しています。海外出張し、新規開発、買収候補案件の事業性評価のためのDD作業と呼ばれる買収監査、売り主・パートナー候補会社との面談、投資先事業会社の取締役会の参加などの海外関連業務を行います。加えて、国内の電力会社向けの商材の販売、共同での風力や太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギー案件の開発の検討なども行います。社内では安定収益を稼ぐ部門として期待されています。」
入社時の志望動機:即戦力で活躍でき、待遇も高評価
「前職で海外電力関連の仕事をしていたので、英語や海外経験を活かして、即戦力として活躍でき、キャリア構築も自然にできること、大学時代の同級生が中途入社で在籍していて、仕事をしやすく、長く勤務できそうとの高評価を聞いていたこと、処遇などを含めた条件が良く、ライフワークバランスもうまく取れそうな好印象も持っていること等を面接では話したと思います。」
仕事評判:海外出張がやりがいであり大変なところでもある
「海外との英語メールでのやりとり、電話会議に加えて、数週間から一か月におよぶ海外出張が頻繁にあります。私の仕事のやりがいはなんといっても海外出張に行けることなのですが、逆に年間に通算で3か月くらい海外に滞在することになる年もあり、子供が小さいので家族との時間がなかなか取れなくなるということもあり、難しいところです。また、上下関係がかなりあります。常に上司寄りで、部下のマネジメントを気にしない体育会系の方もおり、そういう方は上司からの評価は良いので昇進していくため、やりずらい部分もあります。また、入社してくる若い世代は帰国子女で、英語は堪能なのは良いのですが、逆に日本に対する理解は浅い印象もあり、メンタルの問題で会社を休むなどの若手も多く気をつかうことも多いです。」
残業時間:朝方勤務へのシフトを推進中
「5年前の入社当時は、月に50h程度でした。休日出勤することもあります。会社全体でも、月に50h程度の残業をする人が多いですが、2年前から、会社全体で朝方勤務にシフトしてきており、現在は、朝に1時間半ほど毎日、早朝勤務しています。そして、夜は月に20h以内の残業になります。」
年収・手当・福利厚生:転職5年目、40代前半の年収
「わたしは、最終学歴が大学院で、転職5年目、40代前半の正社員、役職は主任です。年収は、残業代、手当、ボーナスすべて込みで、1400万円程度で、うち、会社、所属部署、個人の業績に連動するボーナスが全体の4割程度です。出張の際は、出張手当として日当が、5,000円/日程度出ますが、これも上記の年収に含んでいます。私のこの年収は、同期の真ん中かやや下くらいで、伊藤忠商事株式会社の中では普通だと思います。福利厚生は、保養所などになります。昇給体系は、ランクに連動する基本給のupと、業績連動の変動給のUpの組み合わせになります。」
評価制度:部署によって評価は個人単位、チーム単位など様々
「年収の約4割を占める変動給は業績連動ですが、会社全体、所属部署、個人の業績の総合評価です。私たちはチームで仕事をすることもあり、個人が突出した業績を上げることは難しく、むしろ、長年勤務している人が基本給が高く、年功序列の要素が強いように感じます。ただし、他の部署との比較では、例えば、少し前は資源系の部署は、個人で業績を上げて役員レベルのボーナスをもらう方もいるほどで、景気変動にも左右され、浮き沈みの激しい部署もあります。新卒と中途で、課長昇進までは差はありませんが、社内人脈を有する新卒の方が有利ではあり、中途で課長に昇進する人は上司とかなり密な関係性を作り上げ、部下も相当使い倒す人が多い印象です。ですので、基本的にはそれ以上の昇進は難しいケースが多いのではないでしょうか。」
女性の待遇:課長級の女性はあまりみかけない
「同じ職場に子供を4人産んで、産休、育休も取得し、会社の留学制度で留学までして、復職している女性がいます。本人が自分の生き方を強く持てば、周りはとやかくはあまり言わない雰囲気です。別部門で、女性の執行役員もいますが、課長級で女性はほとんど見かけないですね。」
社内恋愛:意外にも社内では控えめ?
「中途入社なので、あまり詳しくはありませんが、特に禁止はされておらず、むしろ、昔は、一般職の女性と結婚する総合職の男性社員がかなりいたようです。最近は商社の社員は人気があり、若手男性社員は社内で交際するとうまくいかなかった時にきまずくなるので、合コンなどを開催して、社外で交際相手などを探すケースが多いように見受けられます。会社は、飲み会ではめを外さないようには目を光らせてはいるようです。」
仕事はおすすめ?:新卒入社は研修が充実していて良い
「新卒は、入社後に数値関連でかなり鍛えられて、男女を問わず総合職社員は、英語以外の言語の習得(英語はできて当たり前)のためにスペイン語、ロシア語、中国語などの語学研修に半年いけたりします。また、実務研修の一環での海外駐在の機会を与えれていて、入社7~8年目くらいまでは、ビジネススキルも上がり、いろいろな経験値もつくので、いい環境だと思います。それ以降は、社内政治もいろいろありますし、儲からない事業はすぐに切られますし、人の人事もかなりおおざっぱに勢いでされている印象があるので、長期間働く組織としては、また考えどころではあります。」